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【管理栄養士監修】妊活中のお菓子!注意点やレシピをご紹介

ついつい手が伸びてしまうお菓子。
妊活中にはあまり食べないほうがよいという情報も耳にしますが、本当のところどうなのでしょう?
そこで今回は、お菓子と妊活の関係性を徹底解説!妊活中に食べてもいいの?おすすめのお菓子や注意点はある?など、気になる疑問をすっきり解決しましょう。

妊活中にお菓子を食べても大丈夫!ただし、しっかり吟味しよう

結論、妊活中だからといって、お菓子を過剰に制限する必要はありません。 ただし、どんなお菓子でも大丈夫!というわけではないので、お菓子選びはしっかり吟味することが大切です。
それでは、まずお菓子選びの気をつけたいポイントを解説していきますね!

妊活中に気をつけたいお菓子の栄養素(1)糖質

「糖質」は、たんぱく質や脂質と並ぶ三大栄養素のひとつ。カラダの貴重なエネルギー源となる大切な栄養素です。
しかし、お菓子に多く含まれている「砂糖」には要注意。摂りすぎると排卵障害などを引き起こし、不妊の一因となってしまう場合があります。

血糖値の急上昇を招く「砂糖」

上白糖や薄力粉のように精製されたものは糖質が高い食品です。
そのため、摂取すると急激に血糖値が上昇し、それにともなって、血糖値を下げるためのインスリンが大量に分泌され、今度は一気に下降してしまいます。
このような血糖値の急激なアップダウンは自律神経を乱してしまう原因に。その結果、女性ホルモンのバランスが乱れ、排卵障害などを引き起こしてしまう可能性があるのです。

また、糖質の過剰摂取は細胞の糖化現象を引き起こし、細胞の老化を早め卵子の質が低下する可能性があります。
お菓子から「糖質」を過剰摂取することのないよう注意しましょう。[参考1][参考2]

妊活中に気をつけたいお菓子の栄養素(2)脂質

「脂質」も三大栄養素のひとつ。カラダのエネルギー源となる重要な栄養素です。
しかし、脂質のなかにはカラダに良い影響を与えてくれるものと多いと健康を損なうものがあります。
市販されているお菓子に多く含まれているのは、摂りすぎによりさまざまな病気や不妊のリスクが高まることが指摘されています。

摂取を控えたい脂質「トランス脂肪酸」

カラダに悪い脂質の代表「トランス脂肪酸」。
脂質の一種で、植物油などを人工的に精製、加工する工程でできるものと、天然に食品中に含まれるものがあり、加工食品では以下のようなものに多く含まれています。

  • マーガリン
  • ショートニング
  • ファットスプレッド
  • クリーム類(植物性クリーム、ホイップクリームなど)
  • 揚げもの
  • 洋菓子類(ケーキ、クッキー、ドーナツなど)
  • パン類(菓子パンなど)

トランス脂肪酸は、過剰摂取によって心臓病などのリスクが高まったり、肥満やアレルギー疾患にも関連していることが認められ、諸外国では規制がはじまっている脂質。
また、アメリカの研究により、トランス脂肪酸の摂りすぎが排卵障害に影響を及ぼすという報告もされています。
トランス脂肪酸は、できるだけ摂取を控えることが望まれている脂質。
お菓子から「トランス脂肪酸」を過剰摂取することがないよう注意しましょう。[参考3]

妊活中に気をつけたいお菓子の栄養素(3)リン

「リン」は人体に必要なミネラルの一種。
カルシウムやマグネシウムとともに骨や歯を形成したり、体内のさまざまな細胞に存在し、エネルギーを作り出す際に重要な役割を担っている栄養素です。
しかし、過剰に摂取するとカルシウムの吸収を阻害してしまうため、注意が必要とされています。

カルシウムの吸収を阻害する「リン」

食品中に多く含まれている「リン」。そのため、基本的に必要摂取量が不足してしまうことはありません。
しかし、リンは食品添加物としても多く使用されているため、インスタント食品、加工食品(お菓子では揚げ物系に多い)を頻繁に食べている場合、リンをとりすぎてしまう可能性があるのです。
リンの過剰摂取は、カルシウムの吸収を阻害し、カルシウム不足を招く要因となってしまいます。

カルシウムは、細胞分裂を促したり、ホルモン分泌の調整や鉄分代謝のサポートなど重要な役割を担っているほか、精子や卵子を成熟させて活発に動くことを促したり、精神の安定に関わるなど、妊活にとって不可欠な栄養素。
お菓子から「リン」を過剰摂取することで、カルシウム不足となってしまうことがないよう注意しましょう。[参考4][参考5]

妊活中におすすめのお菓子を3点ご紹介!

注意すべき栄養素を把握したところで、早速、妊活中におすすめのお菓子をみていきましょう。
食べることで気分転換にもなって、食べてもあまり悪影響がないものをピックアップしました。
ぜひお菓子選びの参考にしてくださいね。

妊活中のおすすめお菓子(1)ナッツ

抗酸化作用のある「ビタミンE」がたっぷり詰まったナッツ類は、妊活におすすめのお菓子。
ビタミンEを積極的に摂取することで、精子や卵子の酸化(サビ)を防ぎ、質の低下を緩和する効果が期待できます。
ただし、栄養価のとても高いナッツ類は、脂質も多くエネルギーも高め。油分や塩分などが添加されていないものを選び、食べすぎには注意しましょう。

妊活中のおすすめお菓子(2)ドライフルーツ

果物を乾燥させて、甘みが濃縮した「ドライフルーツ」。
砂糖漬けにすることでより甘く味付けされたものと、素材本来が持つ甘さが活かされたものの2種類がありますが、妊活のお菓子におすすめなのは後者。素材が活かされたドライフルーツです。
乾燥させて水分を抜くことで、果物の栄養分がギュギュっと凝縮されているため、普通の果物を食べるよりも多くの栄養分を摂取することができます(※栄養成分によっては、生の果物のほうが効率よく摂取できるものもあります)。
ただし、糖分も凝縮されているので、食べすぎには注意。必ず砂糖が添加されていないものを選びましょう。

妊活中のおすすめお菓子(3)ほしいもや甘栗

やさしい甘さが魅力のほしいもや甘栗。
甘さは自然由来のもので、添加物や保存料は一切使われていないので、妊活中でも安心して食べることができます。
ほしいもはカリウムや食物繊維が豊富。甘栗はカリウム、食物繊維のほか葉酸やビタミンB6も含まれているなど、妊活に必要な栄養素が含まれていることも嬉しいポイントです。
ただし、糖質やカロリーも高めなので、食べすぎには注意しましょう。

お菓子を購入するお店も吟味しましょう

普段から市販のお菓子をよく食べている人の場合は、お菓子をどこで買うかも重要なポイント。
できるだけ、無添加や素材にこだわったお菓子を販売しているお店を選びましょう。
最近では、「成城石井」や「ナチュラルローソン」などといったお店にも、無添加のお菓子が揃っているようですよ。
ぜひチェックしてみてはいかがでしょうか。

妊活中にイチオシのお菓子レシピ

牛乳や生クリームを使わない!かぼちゃのチーズプリン

コク深いアーモンドミルクdeかぼちゃのチーズプリンの妊活レシピ完成写真
画像タップでレシピが見れます。

作って楽しい食べて美味しい!neen編集部おすすめのレシピとして、「かぼちゃのチーズプリン」をご紹介します。

こちらのプリンは生クリームなどの代わりに、クリームチーズや砂糖不使用のアーモンドミルクを使ったプリンです。
かぼちゃは妊娠ビタミンとも呼ばれる「ビタミンE」が多く入っており、自然由来の甘さもたっぷりなので、妊活中のお菓子にはとてもぴったりなんですよ。

コク深いアーモンドミルクdeかぼちゃのチーズプリン

ビタミンE などが豊富

妊活中に気をつけたいお菓子について

「妊活 お菓子」で検索すると、さまざまなお菓子がピックアップされ紹介されています。
でも、そんなお菓子のなかには、体によいとされるメリットばかりが注目され、デメリットが見落とされているケースも。
そこで、「妊活中によい」と紹介されているお菓子のメリット、デメリットをより深く探ってみましょう。

葉酸クッキーのホントのところ

葉酸が添加された葉酸クッキー。
手軽においしく葉酸を摂取できる点や、クッキー1枚分に含まれる葉酸の量が記載されているため、葉酸摂取量が把握できる点などがメリットとして紹介されています。

葉酸については厚生労働省より、産まれてくる赤ちゃんが神経管閉鎖障害を発症してしまうリスクを低減するため、妊娠1カ月以上前から、1日あたり食事から240μgの推奨摂取量にプラスして、栄養機能食品などから付加的に400μg摂取することが推奨されています。
そのため、おいしくて葉酸の摂れる葉酸クッキーは一石二鳥のうれしいお菓子のように思えますが…。

しかし、実際に販売されている葉酸クッキーの原材料を深く探ってみると、マーガリンやショートニング、砂糖、添加物などが使用されていることがわかります。
砂糖やトランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニング、添加物は、妊活中にはとくに注意が必要な食品です。

栄養面だけでなく、添加物まで確認を!

お菓子は、おいしくするためにさまざまな添加物が使われているというデメリットがあります。
葉酸クッキーのほか、葉酸キャンディー、葉酸タブレット、鉄分が多く含まれた鉄クッキーなど、栄養素が添加されたお菓子は多く販売されています。
栄養面だけでなく、使用されている添加物にもしっかり着目するようにしましょう。

おからスイーツのホントのところ

おからを使ったクッキーや、チーズケーキといったおからスイーツ。
「大豆イソフラボン」が入っているから体によいといった理由とともに、妊活中におすすめのお菓子として紹介されています。

おからとは、大豆から豆腐を作る過程でできた残りカスのこと。とはいえ、不溶性食物繊維が豊富で低糖質な栄養価の高い食材です。
小麦粉だけを使ったクッキーやケーキよりも、血糖値を上げにくく低カロリー、さらに不溶性食物繊維が水を吸収して膨らむので、少量でも満腹感を得やすいというメリットがあります。

また、着目されている「大豆イソフラボン」は、妊娠、出産に関わる重要な女性ホルモン「エストロゲン」と構造が似ていることから植物性エストロゲンとも呼ばれ、エストロゲンと似た作用をすることがわかっている、妊活にはうれしい成分。
やはりおからスイーツは妊活中にもってこいのお菓子なのでしょうか。

普段から大豆食品を食べる人は、大豆イソフラボンを意識しなくてよいかもしれません

厚生労働省および農林水産省では、良質なたんぱく源でカルシウム等を豊富に含む大豆や大豆由来食品は、身体にとって重要な栄養源であり、日常の食生活のなかでバランスよく摂取することが推奨されています。

しかし、ヒトにおける大豆イソフラボンの有効性と安全性については、まだ多くの研究が行われている段階であり、特定保健用食品の過剰摂取による大豆イソフラボンの摂りすぎには注意を呼びかけています。

安全性上問題ないとされる大豆イソフラボンの1日あたりの摂取目安量は70~75mgまで。さらに、サプリメントなどからの上乗せ摂取量は30mgまでとなっています。
ちなみに、大豆食品に含まれている平均的な大豆イソフラボンの量は以下のとおり。

  • 納豆(1パック45g)の場合
    2パックで大豆イソフラボン約71mg
  • 豆腐(1丁300g)の場合
    大豆イソフラボン約80mg
  • 豆乳(1パック200g)の場合
    大豆イソフラボン約82mg

添加物を考慮し、大豆イソフラボンは食事からが○!

日常的によく大豆製品を食べている人は、食事から1日の摂取目安量を満たしていることが考えられます。
また、実際に販売されているおからスイーツを深く探ってみると、葉酸クッキーと同様、原材料には砂糖やマーガリン、膨張剤や着色料などさまざまな添加物が含まれているというデメリットが。
このようなことから、普段から大豆食品を摂取している人にとっては、お菓子に大豆イソフラボンを含むものを選ぶ必要はありません。

また、大豆イソフラボンを摂取したい場合であっても、添加物が多く含まれたお菓子よりも納豆などといった食事からの摂取が望ましいことがわかります。
葉酸クッキー同様、栄養面だけでなく、使用されている添加物までしっかり着目するようにしましょう。
また、おからの配合量にもしっかり着目してみましょう。原材料は含有量が多い順に記載されていますよ。[参考4][参考6]

お菓子を上手に食べストレスを溜めないように妊活しましょう

おいしいお菓子を食べると、なんだかホッとして気分転換になりますよね。 妊活中だからといって、お菓子は絶対に食べてはダメというわけではありません。
妊活にとって大事なのは、「お菓子はダメ、○○はダメ」と完ぺきな食事をとることではなく、妊娠すること。ストイックになり過ぎるとストレスが溜まり、逆効果となってしまいます。

ただし、 食べるお菓子の種類はナッツやドライフルーツ、素材を活かした無添加のものにするなど、よく吟味するようにしてください。
食事の妨げとならないよう、間食(お菓子)は200kcal前後を目安にバランスよく食べることを心がけ、ゆったりとした気持ちで妊活しましょう。

この記事を作るため参考にした文献・サイト名

監修

  • 柳 寿苗

    管理栄養士
    柳 寿苗(やなぎ としえ)

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