妊活中にきのこがおすすめな理由!葉酸やビタミンDがたっぷり
しいたけ、えのき、ぶなしめじ、えりんぎ、まいたけ…。どれも低カロリーで美味しいきのこ類ですが、実は妊活中の女性にとって嬉しい栄養素がたっぷり含まれているのをご存知でしょうか。そこで今回は、きのこが妊活に役立つ根拠や、おすすめのレシピなどを紹介します!
きのこが妊活に良い理由
きのこが妊活にいい理由は、その栄養素にあります。では、どのような栄養素が含まれているのでしょうか。1つずつチェックしていきましょう!
葉酸がたっぷり!
きのこには、葉酸がたっぷりと含まれています。葉酸は赤血球の生産を助ける「造血ビタミン」
とも知られており、細胞を生み出す役割を果たしている大切な存在。受精卵の細胞分裂もサポートしています。
そして、妊娠中の胎児の成長に欠かせない栄養素としても有名です。とくに胎児の細胞分裂が活発な超妊娠初期は、葉酸が不足していると先天性の疾患のリスクが高まるため、注意が必要です。
また、妊娠から3週間以内の摂取が推奨されています。ということは、妊娠が判明する前から葉酸を取り入れている状態がベスト!妊活に取り組んでいる時期から、積極的に葉酸を摂取しておきたいですね。
食物繊維のβグルカンで免疫力アップ!
きのこには、食物繊維の一種である「βグルカン」が含まれています。これは、腸内の免疫細胞に対して直接働きかけ、免疫力をぐっと高めてくれる成分。免疫機能を左右させる器官をサポートをしてくれるので、総合的な免疫機能をアップしてくれるともいわれています。
妊活において、自分の体を守ることは非常に大切です。このβグルカンは大麦やオーツ麦といった食材にも含まれてはいますが、含有量がとくに多いのはきのこ。積極的にきのこを食べて、免疫力をしっかりと向上させましょう。
カルシウムの吸収を促すビタミンDも!
カルシウムの吸収を促し、骨の形成をサポートしてくれるビタミンD。骨だけではなく、女性の生殖にも影響を与える栄養素として知られています。免疫力アップにも役立つので、妊娠に向けて体の調子を整えるために欠かせない成分と言えるでしょう。
しかし、多くの女性がビタミンD不足に陥っているのが現状です。日光を浴びることで体内で合成されますが、きのこや魚などの食品から摂取することも大切。とくに普段からあまり日光に当たっていない方は、きのこなどの食材からビタミンDを補っておきましょう。
きのこの栄養価
このように、きのこには妊活を支える栄養素が豊富に含まれています!では、実際にどれほど栄養が摂取できるのでしょうか。代表的な種類ごとに、可食部100gあたりの栄養価をみてみましょう。(参考:文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂))
しいたけ(生)
葉酸 44μg、ビタミンD 0.4μg、食物繊維 4.2g、ビタミンB2 0.2mg、グルタミン酸 440mg
しいたけ(乾燥)
葉酸 240μg、ビタミンD 12.7μg、食物繊維 41g、ビタミンB2 1.4mg、グルタミン酸 3200mg
まいたけ
葉酸 53μg、ビタミンD 4.9μg、カリウム 230mg、食物繊維 3.5g
えのき
葉酸 75μg、カリウム 340mg、ビタミンB1 0.24mg、食物繊維 3.9g
まつたけ
葉酸 63μg、カリウム 410mg、食物繊維 4.7g、ナイアシン 8.0mg、鉄 1.3mg
きのこの基礎知識・種類
その一口に「きのこ」といっても、その種類はさまざま。そこで、「妊活中は積極的にきのこを食べるぞ!」と思っている人に知っておいて欲しい基礎知識を、それぞれの種類ごとにお伝えします!
しいたけ
ビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富なしいたけ。エリタデニンも含まれているので、血圧や血中のコレステロールを下げる効果が期待できます。そのほか、抗ガン作用のあるレンチナンも。可食部100gあたり19kcalと、低カロリーなのも嬉しいですね!
エリンギ
きのこのなかでもビタミンB1・食物繊維・カルシウム、そしてガンの抑制効果をもつβグルカンが多く含まれています。さらに、肝障害の予防や体重増加抑制に期待できるとも言われています。妊活中の方はもちろん、家族みんなで食べたい食材のひとつです。
まいたけ
「見つけると舞うほど嬉しい」「舞っているように見える」といった由来から、その名が付いたまいたけ。エリンギ同様、きのこ類のなかでもβグルカンが豊富に含まれている食材です。そのほか、ビタミンB群も摂取できますよ。
えのき
クセがなく、あらゆる食材とあわせやすいのが特徴です。リラックス効果をもつ「ギャバ」という成分が含まれているので、ストレスを抑えたい妊活中にぴったり。きのこ類のなかでも、とくに葉酸が多く含まれているのもポイントです。
ぶなしめじ
疲労回復に役立つ、グルタミンやグルタミン酸がたくさん含まれています。かつては「ホンシメジ」という名前で販売されていた時期もありました。しかし、本来のホンシメジとぶなしめじは全くの別物。味や香りは、ホンシメジのほうが強いと言われています。また、天日干しで乾燥させて「干しシメジ」にして食べるという方法も。いつもと違った食感や香りが楽しめますよ。
ブナピー
最近スーパーなどで見かけるブナピー。品種改良によって2002年に開発された、白いぶなしめじです。通常のぶなしめじと比べ、苦味がまろやかになっている特徴があります。栄養面は、ぶなしめじとほとんど変わりません。
まつたけ
高級食材として知られるまつたけですが、その魅力は香りだけではありません。エルゴステロールやナイアシンなどを含む、高い栄養価でも知られています。エルゴステロールは、カルシウムの吸収をサポートしてくれる栄養素。妊活中だけでなく、妊娠中も摂取したい栄養素が豊富に含まれています。
なめこ
あの独特なヌルヌルは、ムチンという成分が関係しています。これは胃腸機能を活性化させ、便秘の改善に効果がある成分。お通じが良くなることで、免疫力低下の予防にも繋がります。腸内環境を整えたい方は、ぜひ普段の食事に取り入れましょう。
マッシュルーム
カサの色によって、ホワイト種・オフホワイト種・クリーム種・ブラウン種に分けられています。とはいえ、含まれている成分に違いはありません。ほかのきのこ類と同様、ビタミンB群や食物繊維を摂取することができます。
ひらたけ
日本で多く栽培され、入手しやすいきのこの一種です。くせがないので、さまざまな料理に合いやすいのが魅力的。葉酸が多く含まれているので、妊活の強い味方とも言えます。そのほか、たんぱく質、亜鉛、ナイアシンといった栄養素も豊富に含まれていますよ。
きくらげ
名前に「クラゲ」と入っていることもあり、なんとなく海藻のイメージがあるきくらげ。実はきのこの仲間で、黒のきくらげと白いしろきくらげが存在します。食物繊維やビタミンDのほか、カルシウムもたっぷり。とくにビタミンDは、数ある食材のなかでもトップクラスの含有量です。
きのこの適量(1日)
栄養豊富でおいしいきのこですが、1日にどれくらいの量を食べるといいのでしょうか。きのこに含まれている食物繊維を基準にして考えてみましょう。20~30歳代女性の食物繊維の目標摂取量は、1日あたり18g。通常の食事で12gほど摂取できているとすると、残りの6gをきのこで補うことになります。
とはいえ、不足している食物繊維をきのこだけでカバーすると、栄養バランスが偏ってしまう可能性も。食物繊維量を3〜4gほど含むくらいを目安とすると、1日に食べるきのこの量は100gくらいにしておいた方がいいでしょう。
しいたけで例えると、1パックが約100g。1個あたりだと15gほどです。そのほか、えのき・エリンギ・しめじ・まいたけも1パック100gほど。これらのきのこ類を食べる場合、「1日に1パック」を目安にしておくといいでしょう。
きのこを食べすぎると?
葉酸・食物繊維・ビタミンDなど栄養満点のきのこですが、「食べれば食べるほどいい」とは言い切れません。食べすぎると、かえって健康に悪影響を及ぼす可能性も。では、その具体例を見てみましょう。
便秘の原因になる
食物繊維は、消化しやすい「水溶性食物繊維」と消化しづらい「不溶性食物繊維」に分けられます。たとえば、レタスやトマトといった生で食べられる野菜は不溶性食物繊維、果物や海藻類は水溶性食物繊維であることが多いです。
そして、きのこは不溶性食物繊維に該当します。そのため、消化するまでに時間がかかり、食べすぎると便秘になりやすい傾向があります。
ビタミンDの過剰摂取になる
ビタミンDを摂取しすぎると、骨からカルシウムが溶けだし、高カルシウム血症に陥ってしまうリスクが発生します。その結果、腎臓や肺などにたくさんのカルシウムが沈着します。それにより、下痢や嘔吐、食欲不振、腎機能障害などを引き起こすケースも。先ほどの「1日100g」という目安を超えないよう、普段からしっかり意識しておきましょう。
きのこのおすすめの食べ方
食べ過ぎなければ、妊活を支える心強い食材であるきのこ。さまざまな調理方法がありますが、栄養素を無駄なく摂取するには、どのように食べればいいのでしょうか。おすすめの食べ方をご紹介します!
きのこ汁
きのこに含まれる葉酸は水溶性のビタミンB群なので、水に溶ける性質があります。そのため、きのこ汁で食べるのがおすすめ。きのこの種類や量をお好みで調整できるので、毎日飲んでも飽きませんよ。
【作り方(2人分)】
1.水 350mlに対し、顆粒和風だし小さじ2を入れる
2.ひと煮立ちしたら、酒 大さじ1、しょうゆ 小さじ2、塩 少々を加える
きのこのマリネ
保存食に適したマリネにすれば、毎日のおかずに添えることができます。きのこ汁と同じく、お好きなきのこを自由に組み合わせるのも魅力的!ごま油を使えば、お弁当のおかずにもぴったりな和風テイストに仕上げられます。
【作り方(2人分)】
1.ひとくちサイズに切ったきのこ(250g)を、サラダ油またはごま油で炒める
2.火が通ったら、醤油・みりん・酢 各大さじ1.5、鶏ガラスープの素 小さじ1を加える
きのこのガーリックソテー
香ばしいガーリックと一緒に炒めれば、自然と食欲もアップ!男性ウケがいいので、夫婦で妊活に取り組みたい方におすすめの一品です。
【作り方(2人分)】
1.オリーブ油とにんにくのみじん切りを炒める
2.きのこ(150~200g)を加え、火が通ったら 酒 大さじ1、塩 小さじ1/2を加える
3.こしょう少々を加え、パセリをかける
きのこの和風パスタ
きのこを使ってメイン料理を作りたい方は、和風パスタに挑戦してみては。どの組み合わせでも作れますが、なかでもまいたけとぶなしめじが相性抜群!手軽にさっと作れるので、休日のランチに用意するのもいいですね。
【作り方(2人分)】
1.オリーブオイルとにんにくを炒め、きのこ(200g)とベーコン(2~3枚)を加える
2.バター(10g)としょうゆ(大さじ2.5~3)を加え、ゆでたパスタと混ぜる
3.仕上げにネギをふりかける
栄養満点のきのこで妊活をスムーズに!
きのこには、妊娠前から摂取したい葉酸、免疫力を高める食物繊維のβグルカン、カルシウムの吸収を促すビタミンDなどが豊富に含まれています。とくにビタミンDは、不足している女性が多く見受けられます。どれも妊活を支える大切な栄養素なので、妊娠を望む方は積極的に摂取したいですね。
ただし、食べ過ぎは不溶性食物繊維による便秘や、ビタミンDの過剰摂取になってしまう可能性も。「1日100g」を目安に、毎日の食事にうまく取り入れましょう!どんなきのこにも合う汁ものやマリネにすれば、さまざまな種類のきのこをバランスよく食べることができますよ。
この記事を作るため参考にした文献・サイト名
・文部科学省日本食品標準成分表2015年版(七訂)
監修
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管理栄養士柳 寿苗(やなぎ としえ)