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お味噌汁が妊活によい3つ理由【管理栄養士 監修】

身近な料理であるお味噌汁を少しアレンジするだけで妊娠力をより高めてくれる、妊活には万能な料理となります。もちろん、いつも通りに作っていただいても構いませんが、ちょっとした工夫で、お味噌汁がもつ妊活への効果を引き出すことができるのです。

今回は、なじみ深いお味噌汁に秘められた、妊活効果を最大限に発揮する方法をお伝えします。

お味噌汁が妊活にもたらす3つの効果

いつも飲んでいるお味噌汁。いったいどこが妊活に効果的なのかしら…と疑問に思う人もいらっしゃるかもしれませんね。お味噌汁の妊活への効果は大きく分けて3つあります。それぞれの効果について詳しく見ていきましょう。

イソフラボンが妊活中の女性ホルモンをサポート

味噌に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンに似た働きをします。妊娠するためには、女性ホルモンの正常な働きが重要です。正常な働きが保たれずホルモンバランスが崩れると、妊娠に至りにくくなってしまうのです。

お味噌汁を飲むことで、イソフラボンがホルモンバランスの崩れがないように、女性ホルモンの働きをサポートしてくれます。[参考1]

体を温めて血流をよくしてくれる

お味噌汁を飲むことで体が内側から温まり、体温が上昇。体温が上がると血流がよくなり、卵巣や子宮など妊娠に必要な器官をきちんと機能させることができます。

たくさんの具材からさまざまな栄養が摂取できる

お味噌汁を作るときにどんな具材を入れていますか?豆腐、ネギ、油揚げ、なめこ、わかめ、大根などが定番でしょうか。これら以外にもお味噌汁に入れて食べられる食材はたくさんありますね。

お味噌汁は、具材をたくさん入れることでさまざまな栄養がとれるため、1品で効率よく栄養摂取ができる便利な料理です。さまざまな栄養を体に取り込んで、健康な身体を維持することで妊娠しやすくなりますよ。

妊活にお味噌汁を取り入れるタイミングは?

妊娠を意識し始めたらすぐ取り入れよう

お味噌汁は、「食事によく取り入れている!」「毎日飲む習慣がある!」という人も多いのではないでしょうか。 そういった人は、今までのようにお味噌汁を飲む習慣を続けていくとよいですね。

お味噌汁をあまり飲まないという人は、今日からでもお味噌汁を取り入れた食事にするとさっそく、お味噌汁の恩恵を受けることができますよ。

妊娠中の食事は、お腹の中の赤ちゃんのために気を使っている人がほとんどですが、それを妊娠前から行なっているかというと、そうではない人もいらっしゃるようです。

母親が摂取した栄養が直接赤ちゃんに届けられるのは、胎盤が形成されたあとから。そのため、胎盤が形成されるまでの食事は赤ちゃんに直接影響がないため、注意が必要ないと思っている人もいらっしゃるかもしれません。

しかし、赤ちゃんの体の基本構造ができるのは妊娠初期であり、まだ妊娠に気づいていない可能性もある時期です。この時期に母親の栄養状態が悪ければ、赤ちゃんの発育に支障をきたすかもしれません。

このように、妊娠前から母親の栄養状態が赤ちゃんに影響します。妊活中は赤ちゃんが授かれるよう、食事に気をつけなければなりません。それは赤ちゃんのためにもなるのです。そのため、妊娠を意識した時点から、妊活にプラスに働くお味噌汁を積極的に取り入れるとよいですね。

お味噌汁の効果をよりUPさせるには?

お味噌汁は、飲むタイミングと使用する具材を工夫することで、さらに妊活への効果を引き出すことができます。ここでは、お味噌汁をどのタイミングで飲むべきか、またどのような具材が適しているかについてお伝えします。

妊活中のお味噌汁は「朝食時」がおすすめ

1日のなかで、お味噌汁を飲むタイミングについては朝食時がおすすめです。朝食は昼食や夕食と比較して、栄養の吸収率が非常によいです。朝食にお味噌汁を飲むことで、お味噌汁に含まれる妊活に効果的な栄養素を、効率よく体内に取り込むことができます。

また、朝食にお味噌汁を飲むことで体が温まります。朝食で体を温めることは、妊活においてとても重要です。朝は寝ている間に体温が低下し、血流が悪い状態となっています。この状態は、卵巣や子宮にもよい影響を与えないため、朝食にお味噌汁を飲んでいち早く体温を上げるようにするとよいでしょう。[参考2]

妊活中のお味噌汁、ポイントはたくさんの具材を入れること

妊活中に飲むお味噌汁には、たくさんの具材を入れて作ることがおすすめ!根菜や緑の野菜、きのこを入れることで、妊活をサポートするビタミンやミネラルなど、多くの栄養素を摂取することが可能になります。

また、旬の食材や自分に不足しがちな栄養素を含む食材を入れることで、自分のこだわりのお味噌汁を作るのもよいですね。ここでは、お味噌汁にぜひとも入れてもらいたい食材についてご紹介します。

根菜をプラス

にんじん、ごぼう、生姜などの土の中で育つ根菜は、体を温めて妊娠しやすい身体となるサポートをします。根菜は水分が少なく、ビタミンCやビタミンE、鉄などのミネラルを多く含むため、体温を上げる作用のあるものが多いですね。

葉酸を多く含む緑の野菜をプラス

赤ちゃんの脳や神経の形成に欠かせない、葉酸を豊富に含む野菜を積極的に取り入れましょう。なかでも、ほうれん草、ブロッコリー、モロヘイヤ、水菜、などがおすすめです。

これらの野菜は、さっと加熱するだけで食べることができます。煮込む手間がなく、手軽にお味噌汁の具材として用いることができますよ。

きのこをプラス

きのこは食物繊維が豊富な食材です。食物繊維は腸を刺激して排便を促し、腸内環境を改善してくれます。腸内環境を整えることは、子宮や卵巣への圧迫を防ぎ、生殖器官を正常に機能させることに役立ちます。

また、きのこにはカルシウムの吸収を助けるビタミンDが豊富!しっかりとカルシウムを吸収して、赤ちゃんの骨や歯を丈夫につくることができます。さらに、きのこには妊活中の人に欠かせない葉酸が比較的多く含まれています。きのこは妊活中ぜひとも取り入れたい食材ですね。

妊活効果をUPさせる「食べ合わせ」のポイント2

お味噌汁には主食、主菜、副菜を組み合わせて食べるのが理想的です。ここでは、主食、主菜、副菜のそれぞれについて、どのような食べ合わせが妊活に効果的かご説明します。

主食には白米ではなく、玄米や雑穀米を

主食には白米を食べる人がほとんどだと思いますが、妊活中には白米ではなく、玄米や雑穀米を食べるのがおすすめ!

玄米や雑穀米には、白米よりもビタミンやミネラルが豊富に含まれており、玄米や雑穀米のほうが妊活中の主食として優れています。また、白米よりも玄米や雑穀米を食べたときのほうが、血糖値の上昇率が緩やかになります。

血糖値の急上昇は、肥満や精神的不安をまねくことがあります。妊娠するのに適切な健康体をつくるためには、血糖値の急上昇が避けられる食品を摂取するべきでしょう。

しかし、白米とは違った味や食感で抵抗があったり、少々高価であったりと欠点もあります。毎食とは言いませんが適度に取り入れ、お味噌汁とあわせて食べることで、非常に栄養価の高い食事となります。

主菜には肉類や魚類を取り入れたんぱく質を

肉や魚といえば、たんぱく質が豊富な食材です。たんぱく質は、体を構成するために必要な栄養素です。とくに筋肉は、たんぱく質がなければ作ることができません。

筋肉は、体を温めて血流をよくするために必要で、血流が悪ければ卵巣や子宮などの生殖機能に支障をきたしてしまいます。お味噌汁に入れる油揚げや、豆腐などの大豆製品からも、たんぱく質を摂取することができます。

そして、たんぱく質食品の中でも肉や魚は、とても効率よくたんぱく質を摂取することができる食材。少量でも、肉や魚を使った主菜を用意することで、しっかりと筋肉量の維持ができ、体を冷やすことは少なくなるでしょう。

副菜には妊娠力を上げるビタミンなどが豊富な野菜を

「お味噌汁でたくさん野菜をとったから野菜料理はいらないよね」という考え方はNGです!副菜でもしっかりと野菜をとりましょう。お味噌汁だけでは十分な野菜の量は摂取できません。

野菜は、抗酸化作用のあるビタミンAやビタミンC、ビタミンE、βカロテン、また葉酸を多く含むものが卵子の酸化を防ぎ、妊娠力を上げることに繋がります。
具体的には、ほうれん草、かぼちゃ、にんじん、モロヘイヤ、ブロッコリーなどが、妊娠に必要な栄養素をたくさん含んでいます。

お味噌汁に入れなかった食材を副菜に取り入れることで、さまざまな栄養素を摂取することができますね。

お味噌汁を妊活に取り入れる際の注意ポイント3

お味噌汁は妊活に効果的な要素が多いため、積極的に取り入れていただきたい飲み物です。その一方で、取り入れ方を間違えると妊活に悪影響を及ぼす可能性があります。

ここでは、お味噌汁を摂取する際に注意するべき3点をお伝えします。注意点をきちんと理解して、お味噌汁の恩恵を妊活に取り入れましょう!

海藻類に含まれるヨウ素に注意

お味噌汁に入れる定番の具材として、わかめがあります。わかめなどの海藻にはヨウ素が豊富に含まれています。実は、このヨウ素は妊娠を望んでいる人は、摂取に注意しなければならない栄養素なのです。

ヨウ素とは、甲状腺ホルモンを作る栄養素で、不足しても過剰に取りすぎても甲状腺に悪影響が。甲状腺ホルモンが正常に分泌されないと、不妊の原因となってしまいます。

お味噌汁を作るにあたって、だしを昆布で取ったり、具材として海藻を入れたりする際には、ヨウ素の摂取上限量に十分注意してください。以下の「1日あたりのヨウ素摂取量」と「ヨウ素含有量」を目安にして、適度に海藻を取り入れましょう。[参考3]

1日あたりのヨウ素摂取量

成人女性
推奨量130μg
上限量3,000μg
妊婦
推奨量240μg
上限量2,000μg

ヨウ素含有量

カットわかめ
小さじ1杯
(味噌汁1杯分)
85μg
昆布
(10cm角:10g)
20,000μg
昆布だし
(100ml)
5,400μg

食事がお味噌汁のみはNGです

お味噌汁にたくさん具材を入れたからといって、それだけで食事を済ませるのはNG。お味噌汁だけでは摂取できない栄養素もありますので、お味噌汁のみを飲んでいても妊活は成功しません。

あくまで、妊活中の食事に取り入れる料理のひとつとして活用してください。さまざまな料理とあわせて食べることで、妊活中の食事の質を向上させることができます!」

塩分の摂りすぎには注意

お味噌汁には塩分含量が多いため、飲み過ぎには注意する必要があります。塩分の取りすぎは、高血圧などの生活習慣病になる可能性が。赤ちゃんを授かるためにも塩分摂取はほどほどにして、健康体でなくてはなりません。

お味噌汁を作る際には、具材をたくさん入れて汁は控えめにしたり、味噌の量を少なめにして作ったりと工夫をすることで、塩分量を抑えることができます。塩分量を控えめにしてお味噌汁をつくることで、妊活中でも安心して飲むことができますね!

健康維持にも役立つお味噌汁を飲んで妊活を楽しもう

お味噌汁は、女性ホルモンのバランスを整えたり、体を温める作用があったりと、赤ちゃんを授かりやすい身体にしてくれる妊活に適した料理であることがわかりましたね。

また、妊活中に必要な栄養素を含む食材を同時に摂取できる点においても、妊活向けの料理として大変優れています。お味噌汁を飲むことは、妊娠力を上げるだけでなく、老化防止の効果や美肌効果も得られます。また、飲むとホッとして、心を癒すリラックス効果も。

このようにお味噌汁は、非常に多くの効果や効能がある料理です。妊活中に限らず食事に取り入れることで、健康な身体を維持することができます。

最近ではインスタントのお味噌汁も販売されています。インスタント食品は短時間で手軽に作ることができて非常に便利。しかし、インスタントのお味噌汁は、塩分量が多かったり具材が少なかったり。

さらに、添加物や化学調味料も含まれているため、お味噌汁はできる限りご家庭で手作りすることをおすすめします。だしからとってお味噌汁を作ると非常においしくできあがりますが、そこまでしなくてもだしパックを使って作れば問題ありません。

時短となる工夫をすることで、毎日の食事に取り入れやすくなりますね。いつもの食事に1品、お味噌汁をプラスして健康な身体の維持に努めてください。

この記事の参考文献・サイト名

監修

  • 柳 寿苗

    管理栄養士
    柳 寿苗(やなぎ としえ)

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