【妊活中のお酒】アルコールがもたらす影響のホントのお話
妊娠中はアルコールを飲んではいけない…。これはほとんどの人が知っていることでしょう。
では、妊活中は?改めてそう聞かれると、「あんまり良くない気がする」「でも妊娠しているというわけではないし」と、さまざまな声が聞こえてきます。
今回は、そんな「妊活中にお酒は飲んでもよいのか?悪いのか?」というテーマについて迫っていきます!
妊活中にお酒を飲んでしまうと具体的にどうなるの?
結論から述べると、妊娠中だけではなく妊活中においても、お酒はできるだけ控えた方がよいです。
その理由は、お酒に含まれているアルコールにあります。
アルコールは、一度体内に入ったあと肝臓で代謝され、その過程で発生する有害物質アセトアルデヒドの分解に、ミトコンドリアが働きます。
その際に「活性酸素」が発生。この活性酸素が、卵子や精子に大きな影響を与えてしまうのです。
活性酸素による影響で酸化ストレスを招き卵子の質が低下
卵子の質はさまざまな原因で左右されます。その原因の1つが、「酸化ストレス」。
活性酸素は酸化ストレスを招くので、それにより卵子の質も低下してしまうのです。
妊活中は、少しでも卵子をよい状態にしておきたいもの。さらに厄介なことに、お酒を飲む量に比例して、活性酸素の量も多くなっていきます。
つまり、お酒を飲めば飲むほど、それに伴って活性酸素も増えてしまい、卵子や精子の質への影響も大きくなります。
卵子や精子をよい状態にするためにも、妊娠を望んでいる方はできるだけお酒を控えておいた方がよいでしょう。[参考1]
お酒は妊活中の男性にも悪影響があります
大量のアルコール摂取は、女性だけではなく男性にも悪影響を及ぼします。
そのひとつが精液量の低下です。精液量が極端に少ないと、その分妊娠する確率も低くなってしまいます。
また、正常形態率を下げてしまう可能性も。異常のある精子は正常に受精卵へ到達することができません。
精子の正常形態率は、精液量と同じく妊娠率を左右させる大切な要素のひとつなのです。
ただし、女性と同じく時々飲む程度でしたら、そこまで大きな影響はないと言えます。
妊活中はパートナー片方だけの禁酒が喧嘩の原因にも
妊活中に片方だけが禁酒していると、「どうして私は我慢しているのに、あなたは飲み会に行くのよ」と喧嘩の原因になってしまうかもしれません。
夫婦で日頃から「お酒はほどほどにしようね」「飲み会のあとは、しばらくお酒は控えようね」と話し合っておくとよいですね。[参考2]
妊活はパートナー同士で行っていることを意識し合うことが大切です。
お酒・アルコールのすべてが悪というわけではない
アルコールの摂取が卵子や精子の質の低下に繋がると聞くと、「もう今後はお酒を一滴も飲まないぞ」と決心してしまう方もいるのではないでしょうか?
でも、ちょっと待ってください!そこまで極端に取り組まなければいけないというわけではありません。
確かに妊活中はお酒を控えることも大切ですが、お酒を飲む事のすべてが悪いというわけではないのです。
アルコールを我慢しすぎると、逆にストレスで活性酸素が
会社で飲み会に参加しなければならない時や、仕事終わりにどうしても一杯飲みたい日もあることでしょう。
そんななかで大好きなお酒を我慢したり、飲み会を断って人間関係に影響してしまったりすることで、大きなストレスを抱えていては本末転倒です。
妊活において、ストレスは大敵。ストレスを受けると、アルコールを摂取した時と同じく、活性酸素が発生してしまいます。
活性酸素の発生を防ぐためにお酒を我慢したことで、ストレスによる活性酸素ができては意味がありませんよね。
そのため、お酒が好きで飲むことがストレス解消になっている場合、無理に禁酒をすることはありません。
実際の調査でも、「適量のお酒を飲む人」は「まったく飲まない人、大量に飲む人」に比べ、死亡率が低いという結果も。適量を守ることの大切さがうかがえますね。
妊活中でも自分のできるペースを保ちながらほどほどの量を守ることで、うまくストレスをコントロールしましょう!
どうしてもお酒が飲みたい…そんな時のお酒の飲み方を解説します!
空腹時は要注意!妊活時にはお腹に何かを入れてからお酒を飲みましょう
妊活時の飲みすぎはよくないと分かっていても、無性にお酒が飲みたくなることもありますよね。
そんな時は、お酒を飲む前に何か食べておきましょう。
胃の中がからっぽの状態だと、アルコールがどんどん腸まで流れてしまうため、アルコールの血中濃度が急激に上がります。
それに伴い、肝臓でのアルコールの処理も追いつかなくなります。また、お腹が空いているからと、思わず飲みすぎてしまう恐れも防いでくれるでしょう。
これらを踏まえ、特に妊活時にはお酒を飲む前に軽く食事を済ましておくと安心です。
突然飲み会に誘われた時の対策として、カバンのなかに軽食を忍ばせておくのもよいですね。
くれぐれも、お腹が空いたまま乾杯をして一気飲み…なんてことはやめておきましょう。
妊活中ではお酒を飲むタイミングにも配慮しましょう
妊娠中の飲酒は、お腹の中の赤ちゃんに大きな影響を与えます。
ただし、受精卵が着床するまでは、まだ妊娠した状態とは言えません。飲酒においても、着床前なら胎児に影響するとは考えにくいでしょう。
その点を踏まえて、排卵が終わって着床する時期からは、お酒を控えておくことがベター。
基礎体温を測っている人や、病院で排卵を確認してもらっている人は、より排卵や着床の時期の見当がつきやすいですね。
もし生理が来てしまったら、しばらくはお酒を飲んでもよい。というように区切りをつけるのも方法のひとつです。
もちろん妊娠が判明したら、それ以降お酒を飲むことはやめるようにしましょう。
妊活中のお酒、ノンアルコールなら問題なし?
妊活中の女性に、アルコール成分が悪影響を及ぼしてしまうことを理解していただけたと思います。
「じゃあノンアルコールを飲めばいいじゃん」と思う方もいらっしゃるのでは?最近ではノンアルコールを扱っている飲食店も増えましたね。
ただ、ノンアルコールのものなら絶対に安心、とは言い切れません。
意外と知れられていないのですが、アルコール含有率が全体の1%未満なら「ノンアルコール」と表示することが可能。
ノンアルコールと記載しているからと言って、アルコールが一切含まれていないとは限らないのです。
「妊娠してからはノンアルコールの商品を飲むようにした」と言っている妊婦さんが、実は少量のアルコールを摂取してしまっていた、なんて可能性もありうること。
そんな事態を防ぐためにも、しっかりと商品のパッケージに「0.00%」と記載されているかを確認しておきましょう。
ノンアルコールビールなどの添加物にも注意
また、注意しておきたいものが「添加物」の存在。
例えばノンアルコールビールには、実際のビールの風味を引き出すため、さまざまな添加物が含まれています。
甘味料やカラメル色素、果糖ぶどう糖液糖など、その種類はさまざま。ノンアルコールだからと言って、過剰に飲む事は控えておきましょう。
今では、無添加のノンアルコールドリンクも多く販売されています。
ノンアルコールドリンクを選ぶときは、アルコール度数が0.00%であることと、添加物をチェックするようにしましょうね。
妊活中のお酒は原則控える、ただし我慢しすぎないように
妊活中に気になる「お酒を飲んでもいいのか」という問題。そこで避けては通れないのが、お酒を飲むことで発生する「活性酸素」の存在でした。
活性酸素は卵子の質を低下させてしまう可能性があります。さらに、男性にとっては精液量が低下してしまう場合も。
これにより、お酒に含まれているアルコールの成分が、妊活に悪影響を及ぼしてしまうことをご理解いただけたのではないでしょうか。
また、ノンアルコールにはごく少量のアルコールが含まれている商品も存在するので、注意が必要ですね。
妊活のためにも今後はアルコール成分を一切摂取したくないという人は、パッケージに0.00%と記載されているものを選びましょう。
ただ、あまり神経質になりすぎて、大好きなお酒を一切飲まないというのも苦しいもの。
ストレスを感じることでも活性酸素が発生するので、あまり神経質になりすぎないことも大切です。
妊活中、どうしても完全にお酒を断つことが厳しいなら、空腹を避ける、排卵の時期を基準にするなどの工夫を凝らすのも手段のひとつですね。
とはいえ、卵子の質への影響や妊娠中のことも踏まえると、やはりお酒の量は極力減らしておきたいもの。
赤ちゃんを望んでいる期間は、夫婦共にお酒はできるだけ最小限に抑えることを前提にして、自分のペースで妊活に挑んでください。
この記事を作るため参考にした文献・サイト名
監修
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管理栄養士柳 寿苗(やなぎ としえ)