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妊活中は要注意!食べてはいけないもの6選&食べる際のポイント

わたしたちのカラダは、食べたものによって作られています。そして、妊娠しやすいカラダづくりの土台となるのも食事。
カラダによいものを食べ続けていくことが妊娠力アップにつながるのです。

でも、実は「何を食べるか」と同じくらい重要なのが「何を食べないか」。あふれる食材、食品のなかには、妊娠を遠ざけてしまう食べものがあるのも事実。
そこで、妊活中に気をつけたほうがよいもの、避けたほうがよいものを管理栄養士が徹底解説します。
妊娠体質に導く食事、栄養について、じっくりと考えてみましょう。

    健康なカラダと妊活、そして栄養の関係性

    冒頭でもお伝えした通り、わたしたちのカラダは食べものによって作られ、カラダによいものを食べていくことによって健康が維持されていきます。

    そして、健康なカラダづくりをすることは妊娠力を高めるためにも必須。
    痩せた土では作物をうまく育てられないように、健康でないカラダでは、質のよい卵子や精子をつくることや受精卵をしっかりと育てていくことができません。

    「妊活には食事が大事」といわれるのは、食事から摂取する栄養こそが健康なカラダづくりの材料となるからなのです。
    では、健康なカラダに必要な栄養とは何か、さらに、健康なカラダのために避けるべきものとは何か、次項より詳細を確認していきましょう。

    健康と妊娠力を左右する主な栄養素一覧

    まずは、健康なカラダを作るため、そして妊活のために意識して摂取したい、主な栄養素を押さえていきましょう。

    • カラダの土台となり、卵子や精子の主成分ともなるたんぱく質
    • 子宮内膜の材料となる鉄
    • 胎児の骨の形成に妊活中からの貯蓄が必要となるカルシウム
    • 性ホルモンの生成や促進に関わる亜鉛
    • 生殖器と深く関わるビタミンD
    • 胎児の健やかな発育に必須の葉酸
    • ホルモンの材料となるコレステロール
    • 身体を調え維持する働きを担うビタミン

    など。
    これらさまざまな栄養が足りているのか、今の食生活を一度見直してみてください。
    なお、これらの栄養素は、不足はもちろん過剰摂取もNG。

    厚生労働省の『日本人の食事摂取基準(2015年版)概要』 などを参考にして、過不足なく、さらにバランスよく摂取していくことが大切です。 [参考1]

    現代人の食は欧米化~妊活にも問題に~

    突然ですが、昨日はどのような食事を摂りましたか?
    お米や野菜、魚や大豆製品などは食べていたでしょうか?
    現在の日本の食生活は、環境の変化や食の多様化に伴い、栄養バランスの崩れによるさまざまな健康被害が懸念されています。

    かつての日本は、世界のお手本ともなっていた「日本型食生活」を送っていました。
    日本型食生活とは、お米を主食に、魚や大豆、野菜を中心とした主菜と副菜。
    そこに、肉類や牛乳・乳製品、たまごや果物などが適度に加わった、多様で栄養バランスの取れた食事のこと。[参考2]

    しかし、食の欧米化が進み、食べものにあふれた現在では、日本型食生活が崩れて食の質が低下しているといわれているのです。

    妊活にも影響を受ける食生活のさまざまな問題点

    そんな現代人の食生活において、懸念されているのは主に次のような問題。

    • 糖質過多
      ⇒ご飯・パン・麺類・デザート、など
    • 痩せ傾向
      ⇒ヘルシー志向やダイエットの関心から、野菜しか食べない・肉や油を一切摂らない、など
    • 栄養不足
    • 魚離れ
    • トランス脂肪酸(質の悪い油)の摂りすぎ
      ⇒マーガリン・ショートニング・焼き菓子・スナック菓子・揚げ物、など

    これらは、さまざまな健康被害を引き起こす引き金となり、さらに、妊娠を遠ざけてしまう要因ともなってしまうのです。

    妊活で避けたい食べもの6選と注意点

    では、日本の食生活の現状と問題点を押さえたところで、健康なカラダをつくり妊娠力を向上させるためには、どんな食べものを避け、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。
    早速、具体的に解説していきます。

    (1)糖質の過剰摂取は妊活でも注意

    ダイエットの定番「糖質制限」。
    糖質の多い食事をカットする食事法のことですが、糖質の摂りすぎはダイエットだけでなく、妊活にもNG。

    というのも、糖質を摂りすぎると「糖化」を促してしまうからなのです。
    糖化とは、「カラダのコゲ」とも呼ばれ、食事などから摂った余分な糖質が体内でたんぱく質と結合し、変性して、細胞などを老化させてしまう現象のこと。
    精子や卵子も、過剰な糖質摂取により糖化すると、質の低下へつながってしまいます。

    ちなみに、炭水化物や砂糖たっぷりのデザートだけでなく、果物も食べすぎには要注意。果物に含まれる果糖も糖化を促してしまいます。
    とはいえ、極端な糖質制限は必要ありません。栄養バランスのよい食事を摂りつつ、できるだけ余分な糖質を減らしていくことを心がけましょう。

    (2)妊活中のたんぱく質不足~逆に注意~

    たんぱく質は、皮膚や髪の毛、筋肉や骨などの主材料となり、わたしたちのカラダづくりの土台となる栄養素。
    さらに、子宮内膜や精子の材料にもなったり、ホルモン生成にも関与している重要な成分です。

    しかし、厚生労働省によると、どの年齢もたんぱく質の摂取量が年々減少し、不足傾向にあることが報告されています。[参考3]
    ダイエットのために野菜中心の食生活を送っている場合や日々の食事が単品食になりがちな場合には、たんぱく質が不足している可能性あり。
    たんぱく質不足は、そのままカラダの材料不足につながるため、さまざまなカラダの不調が生じてしまいます。

    妊娠しやすいカラダとは、質のよい卵子や精子をつくり、受精卵をしっかりと育てていける健康なカラダのこと。
    そんなカラダづくりのために、土台となるたんぱく質を積極的に摂取していきましょう。

    たんぱく質は、動物性:植物性=1:1が理想

    ちなみに、たんぱく質は、「動物性たんぱく質:植物性たんぱく質=1:1」が理想的な摂取バランスとされています。
    しかし、近年では食の欧米化に伴い、肉類などの動物性たんぱく質の摂取量が増加し、植物性たんぱく質が不足傾向に。

    たんぱく質は重要な栄養素であるものの、動物性たんぱく質に偏ってしまうと、大腸がんや動脈硬化などさまざまな健康被害や不妊のリスクを高めてしまう可能性があります。

    デンマークの研究チームによると、肉などの飽和脂肪酸を含む食品を多く食べている男性は、そうでない男性と比べて精子濃度が低く、精子量も少ないという報告も。[参考4]

    肉を頻繁に食べる、というような場合には、「動物性たんぱく質:植物性たんぱく質=1:1」の理想バランスに近づけるよう、植物性たんぱく質も意識的に摂取するようにしましょう。

    (3)トランス脂肪酸は妊活中も要注意!

    トランス脂肪酸とは、悪い油の代表格とされる脂質の一種。
    植物油などを精製・加工する工程で人工的に生じるものと、牛などの反すう動物に由来する乳製品や肉などといった天然の食品中に含まれているものがあります。

    過剰摂取は排卵障害に影響する可能性あり

    そして、近年問題となっているのが、トランス脂肪酸の摂りすぎによる健康被害。
    諸外国の研究結果から、トランス脂肪酸の過剰摂取が、心筋梗塞などの冠動脈疾患を増加させる可能性を高めたり、肥満やアレルギー疾患にも関連することがわかっています。

    さらに、アメリカの研究では、トランス脂肪酸の摂りすぎが排卵障害に影響を及ぼすという報告も。
    このようなことから、脂質の摂取量が多い欧米などでは、すでにトランス脂肪酸の規制がはじまっています。[参考5][参考6]

    なお、厚生労働省によると、日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は、WHO(世界保健機関)の目標基準値を下回っているようです。[参考7]
    そのため、通常の食生活では健康への影響は少ないと考えられていますが、健康のため、妊娠力をあげるために、できるだけ避けたほうがよいでしょう。

    トランス脂肪酸を含む主な食品

    ちなみに、トランス脂肪酸を含む主な食品には以下のようなものがあります。

    • マーガリン
    • ショートニング
    • ファットスプレッド
    • マヨネーズ
    • 食用植物油や食用調合油
    • 揚げものや調理冷凍食品類(フライドポテト・からあげ・フライドチキン・チキンナゲット・コロッケ・魚などのフライ・天ぷら、など)
    • クリーム類(ホイップクリーム・植物性クリーム・コンパウンドクリーム・コーヒークリーム、など)
    • 洋菓子類(ケーキ・パイ・ドーナツ・ビスケット、など)
    • パン類(ショートニングなどが使用された食パン・菓子パン、など)
    • 牛肉・牛乳・乳製品
      ※牛や羊などの反すう動物は、胃のなかの微生物の働きによってトランス脂肪酸が作られます。そのため、牛や羊などに由来する肉や乳製品にも含まれています。

    (4)環境ホルモン・食品添加物に気をつけよう

    「環境ホルモン」という言葉を耳にしたことはありますか?

    環境ホルモンとは、環境のなかにあり、生物の本来のホルモンと同じような働きをする化学物質のこと。
    科学的には「内分泌かく乱物質」と呼ばれ、生物の体内に入って、代謝・成長・生殖などといった体内の機能を調整している本物のホルモンの働きを乱してしまいます。

    現在のところ、ヒトへの環境ホルモンの影響は明らかにされていないものの、精子数の減少や精巣異常など、性機能の異常に環境ホルモンが関与している可能性があると警鐘をならしている専門家もいます。
    そのため、神経質になりすぎる必要はありませんが、化学物質に注意を向けることは大切です。[参考8]

    食品添加物は身近な化学物質

    ちなみに、保存料や酸化防止剤など、食品の製造過程や食品の加工、保存の目的で使用されている食品添加物も身近な化学物質のひとつ。

    現在、日本で使用されている食品添加物は、安全性と有効性が科学的に評価され、厚生労働大臣に認められたもののみとなっていますが、過剰に摂取してしまうとカラダの害となる可能性も。

    食品を選ぶ際はラベルの後ろを確認し、できるだけ食品添加物の少ないものをセレクトするとよいでしょう。

    低脂肪・ノンオイル・カロリーゼロに注意

    ヘルシーでカラダによさそうな「低脂肪」・「ノンオイル」・「カロリーゼロ」食品。しかし、実はこれらも妊活中には避けたいものばかり。
    では、ひとつずつその理由を確認していきましょう。

    低脂肪・無脂肪乳製品は排卵障害のリスクあり

    低脂肪・無脂肪乳製品には、無排卵性不妊のリスクを高める可能性が指摘されています。
    その原因として考えられているのが、牛乳から脂肪分を取り除く過程で、牛乳に含まれる女性ホルモンも一緒に除去されてしまうこと。

    牛乳には、男性ホルモンも含まれているため、女性ホルモンが除去された低脂肪・無脂肪の乳製品を食べることにより体内の男性ホルモンが増加。
    その結果、卵胞の成熟が阻害されてしまうといわれています。

    なお、ハーバード大学公衆衛生大学院研究チームの研究では、「低脂肪乳製品の高摂取は不妊のリスクを高め、高脂肪乳製品の摂取はこのリスクを低下させる可能性がある」という結果も。[参考9]
    そのため、妊活中の牛乳・乳製品は、無調整で高脂肪のものを選ぶようにしましょう。

    ノンオイルは高糖質な場合が多い傾向に

    カロリーが低くヘルシーなイメージがありますが、ノンオイルは高糖質な食品のため要注意。
    いくつかの和風ドレッシングのカロリーと炭水化物量(15gあたり)を比べてみましょう。

    • キユーピー 和風しょうゆごまドレッシング:36kcal/1.5g
    • キユーピー ノンオイル和風ごま:9kcal/0.7g
    • キユーピー ノンオイル和風たまねぎ:10kcal/2.1g
    • リケンのノンオイル 和風:17kcal/3.4g
    • リケンのノンオイル セレクティ こく仕立て和風:15kcal/2.8g

    上記の通り、通常のドレッシングと比べるとカロリーは半分以下になっているものの、糖質(炭水化物)は高め。
    ノンオイルは、カロリーを減らすために脂肪分を減らし、それによって減ってしまう旨味を糖質でカバーしているものが多いのです。

    つまり、カラダによいと思ってノンオイルをセレクトしていると、知らないうちに糖質を摂りすぎてしまうことに。
    ノンオイル食品は、カロリーだけに惑わされず、糖質についてもしっかり確認するようにしましょう。

    カロリーゼロは要注意です!

    スーパーやコンビニに数多く並ぶ、カロリーゼロやノンシュガーを謳った飲料やスイーツなど。
    ダイエットや健康志向にぴったりハマる神食品と思いきや、これらも避けたほうがよい食品です。

    カロリーゼロやノンシュガー食品に使われているのは、砂糖よりも数百倍甘味度が高く、さらにカロリーを低く抑えることができる人工甘味料。
    実は、さまざまな論文において、この人工甘味料のカラダへの有害性が報告されているのです。[参考10]

    人工甘味料についてはまだ研究途上とされているものの、有害となる可能性が指摘されているのは次の通り。

    • 長期的な体重増加
    • 肥満
    • 心臓病・高血圧・糖尿病の増加
    • 腸内環境のバランスに悪影響を及ぼす、など

    そのため、人工甘味料を使ったカロリーゼロやノンシュガー食品は、できるだけ控えたほうが無難です。

    (5)赤身肉の飽和脂肪酸にも気をつけましょう

    ここ数年、人気が高まっている赤身肉。脂肪が少なく、たんぱく質や鉄分などが豊富で「痩せる肉」などとして注目を集めています。
    しかし、痩せるからと赤身肉に偏った食生活は、妊娠を遠ざけてしまう可能性があるためNG。

    赤身肉などに多く含まれている飽和脂肪酸は、とりすぎると悪玉コレステロールや中性脂肪を増加させるといわれています。血液をドロドロにして、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞といった生活習慣病の要因に。
    また、肉食中心の食生活は、悪玉菌を増やして腸内環境を乱す、精子数を減少させるという報告もされています。

    赤身肉はカラダにとっても妊活にとっても重要な食材ですが、食べすぎると健康を害し、妊娠力の低下につながってしまいます。
    魚や野菜などほかの食材とバランスよく組み合わせて、適度に食べることを心がけましょう。[参考11]

    (6)食肉加工品・成型肉にも注意が必要です

    ハムやソーセージなどの食肉加工品、サイコロステーキなどの成型肉も妊活には避けるべき食品です。その主な理由は、食品添加物と糖化。
    では、詳しく確認していきましょう。

    加工品は食品添加物のオンパレード

    食肉加工品には、色をよくみせるための亜硝酸ナトリウムをはじめ、増粘多糖類やリン酸塩、酸化防止剤などさまざまな食品添加物が使われています。

    なお、食品添加物は厚生労働大臣によって安全性と有用性が認められたもののみ使用されていますが、長期にわたって摂取した際の健康への影響ははっきりとわかっていません。
    また、加工肉の過剰摂取が大腸がんのリスクを高める可能性がある、と指摘している専門家もいます。[参考12]

    食品添加物はカラダの健康のために必要なものではありません。
    それぞれの食品に使用されている食品添加物の含有量は、国で定められている基準値内に収まっていても、1日、1ヶ月、1年で合計すると相当な量を摂取している可能性もあります。

    そのため、食品添加物が多用されている加工品の摂取はできるだけ控えたほうがよいでしょう。

    成型肉は添加物にくず肉にAGEsの問題も

    成型肉も、添加物を注入して固められているものや、くず肉を集めて作られておりどんな部位が使われているのか不明なものなど、やはり不安要素の多い食品です。

    また、加工処理の過程で菌が肉のなかに入り込んでしまう場合があり、食べる際には十分な加熱が必須。
    すると今度は、AGEs(終末糖化産物)による生活習慣病や老化の問題も浮上してしまいます。

    AGEsとは、たんぱく質と糖が結びつき加熱によってできる物質のことで、強い毒性があり、老化の原因物質となります。
    卵子や精子も例外ではなく、AGEsが蓄積すると老化し、質が低下してしまうことに。

    なお、焼いたり揚げたりした動物性脂肪食品には、とくに多くのAGEsが含まれています。
    食品添加物にAGEsと、カラダにとって懸念要素を多く含んだ成型肉はできるだけ控えたほうがよいでしょう。

    「 妊活のために完全排除」ではなく摂取回数を減らす

    ここまでみてきた、妊活中に避けたほうがよい食べものの数々。
    健康なカラダをつくり妊娠体質になるためには、できるだけ摂らないことが理想なのですが、とはいえ、【絶対に食べてはいけないもの 】 ではありません。

    毎日の食事から完全に排除するのはとても難しいこと。そこまで神経質になる必要はありませんよ。
    押さえておくべき大切なポイントは次の通り。

    • 食べてはいけないわけではありません
    • 忙しいときや食べたいときには取り入れて大丈夫
    • 食べる頻度を減らしていきましょう

    絶対にダメ、となるとストレスが溜まってしまいますよね。ストレスも妊活の大敵です。
    「妊活中に避けたほうがよい食べもの」の摂取をできるだけ減らすことを心がけ、食べたいときには食べる!
    完璧を目指さず、ストレスにならない程度に実践してみてくださいね。

    摂取頻度がポイント!ストレスフリーに妊娠力を高めよう

    妊娠しやすいカラダとは、質のよい卵子や精子をつくり、受精卵を育てていける健康なカラダのこと。

    そのためには、できるだけ避けたほうがよい食べものがあるのも事実です。
    しかし、毎日の食事から完全に排除しようとすると、ストレスが溜まりかえって妊娠が遠のいてしまうことも。

    大切なのは、避けたほうがよい食べものを知り、摂取頻度を減らすことです。
    ムリのない範囲で実践し、ストレスフリーに妊娠力を高めていきましょう。

    この記事を作るため参考にした文献・サイト名

    監修

    • 管理栄養士
      柳 寿苗(やなぎ としえ)

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