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納豆で妊娠力UP!ネバネバに宿る妊活パワーを詳しくご紹介

スーパーフードの代表各、納豆。栄養価が高く、健康維持のためにはもちろん、妊活にも積極的に摂り入れていきたい食材です。
妊活へどんなうれしい効果をもたらすのか、おすすめの食べ方や摂取時の注意点などもあわせて、納豆まるごと徹底解説します!

まずは納豆の基礎知識を見ていきましょう

冒頭でもお伝えした通り、スーパーフードの代表格である納豆。
まずは、そんな納豆の基礎知識を深めていきましょう。

納豆は大豆を発酵させた食品。栄養もたっぷり

納豆は、原料となる大豆を納豆菌で発酵させた発酵食品です。
蒸し煮した大豆に納豆菌を加えて、適切な温度と湿度で発酵させると納豆菌が急増。
大豆のたんぱく質を分解してアミノ酸やビタミンを生成し、ネバネバに糸ひく納豆を作り出します。

納豆には、健康維持のために必要不可欠とされる5大栄養素、糖質・脂質・たんぱく質・ミネラル・ビタミンがバランスよく含まれます。
さらに第6の栄養素と呼ばれる食物繊維も豊富。発酵により新たな栄養素も加わって、まさに栄養の宝庫といえる食品です。

大豆より納豆のほうが健康効果が高い理由

健康効果をより発揮させたいなら、大豆よりも納豆がよいとされています。
そもそも原料の大豆は、畑の肉と呼ばれる良質なたんぱく質をはじめ、ビタミン・食物繊維・カルシウム・大豆イソフラボン・大豆サポニンなどが入っています。

小さな一粒に栄養がギュギュと詰まっていて、もとから栄養価の高い食材。
大豆を納豆にすることで何か変わるのでしょうか。詳しく確認していきましょう。

大豆のときと比べ栄養価がアップ

大豆に納豆菌を加えて発酵する過程で、ポリアミンやビタミンなど大豆に元から含まれている健康成分が増え、さらにナットウキナーゼをはじめとする新たな成分が生み出されます。
例えば、大豆と納豆を比較すると、ビタミンB2は約2倍に、ビタミンKは約124倍にアップ!

  • ビタミンB2:2倍
  • ビタミンK:124倍

さらに、納豆になることで主に下記のような成分がプラスされます。

  • ナットウキナーゼ
  • 納豆菌
  • グルタミン酸、など

つまり、納豆は、大豆の栄養+新たな有効成分で、大豆よりもはるかに栄養価がアップしている食品なのです。

納豆は栄養素がカラダに吸収されやすい形に変化している

納豆菌を加えて発酵する過程で、大豆のさまざまな栄養素が体内に吸収されやすい形に分解されます。

例えば、大豆に豊富に含まれているたんぱく質は、筋肉や皮ふ、髪の毛、爪、骨や内臓、さらに、血液や酵素、ホルモンなどを形成するカラダにとって重要な栄養素ですが、そのままの形では体内に吸収できません。
たんぱく質の摂取後、消化酵素の働きにより、数時間かけてアミノ酸に分解されてから体内に吸収されるようになるのです。

一方、納豆は、納豆菌の働きですでにたんぱく質がアミノ酸に分解されているので、大豆よりも消化吸収がスムーズ。
このように、納豆は、大豆よりも栄養の消化・吸収率がアップしている食品なのです。

納豆の有効成分と健康効果

納豆の基礎知識を把握したところで、ここからは納豆の更なる魅力に迫っていきましょう。
納豆特有の栄養価とその健康効果についてご説明します。

ナットウキナーゼで血流改善効果に期待

ナットウキナーゼとは、納豆のネバネバ部分に含まれるたんぱく質分解酵素のこと。
大豆に納豆菌を加えて発酵する過程で生成されます。

このナットウキナーゼは、血管内にできる血液のかたまり(血栓)を防止し、血液をサラサラにする血流改善作用が抜群。動脈硬化や心筋梗塞の予防に効果的です。

イソフラボンアグリコンでホルモンバランスを整える

イソフラボンアグリコンとは体内に吸収しやすい大豆イソフラボンのこと。
大豆イソフラボンには「配糖体」と「アグリコン」という2つの形態があり、腸内細菌の作用などによって糖部分が分離され体内に吸収されやすくなったものをアグリコンといいます。

ちなみに、多くの大豆食品に含まれる大豆イソフラボンは「イソフラボン配糖体」のほう。
摂取後にアグリコンへ変換する必要があるため、体内への吸収に時間がかかってしまいます。
一方で、納豆の大豆イソフラボンは「イソフラボンアグリコン」の形で存在。そのため、よりスムーズに体内へ摂り入れられるのです。

なお、大豆イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをしてホルモンバランスを整える作用があり、更年期障害や骨粗鬆症の予防に効果的です。

納豆菌がカラダにもたらす良い効果

納豆を作るのに必須の納豆菌とは、稲わらや枯草、落ち葉など、自然界に存在する枯草菌(こそうきん)の一種。
納豆菌には下記のような作用があり、納豆を食べることで腸内環境を改善する効果が期待できます。

  • 腸内の悪玉菌を減らす
  • 腐敗菌の増加を抑制する
  • 納豆菌が腸内で善玉菌として働き、ほかの善玉菌の増殖を促す

納豆に含まれるポリアミンについて

ポリアミンとは、ほぼすべての生物(微生物・植物・動物)の細胞に存在している物質のこと。
細胞の状態を正常に保つ作用があり、カラダの健康維持に不可欠となる重要な存在です。

ポリアミンは細胞内で作られるものですが、加齢とともに生産能力は低下傾向に。
最近の研究では、細胞の正常性を維持できなくなるレベルまでポリアミンが減ってしまうことが、生活習慣病や老化を引き起こす一因と考えられています。

つまり、健康維持のためには、体内のポリアミンを減少させないことがカギ
高ポリアミン食の摂取により、減ってしまうポリアミンを補っていくことが大切なのです。

そこで、高ポリアミン食の代表選手である納豆の出番。
納豆を食べることによって、減っていくポリアミンをしっかりと補充することができます。[参考1]

妊活中に納豆を食べてもOK?

「そもそも、納豆は妊活中に食べても大丈夫?」
妊娠力を高めるためには食事の内容が大事。積極的に摂取したい食品がある一方、避けておきたい食品などもありますが、納豆は妊活中に食べてもよいのでしょうか。

その答えは、もちろん「イエス」
これまでみてきた通り、納豆は、栄養価の高い大豆に新たな有効成分が加わったスーパーフード。
健康維持にはもちろん、妊娠力アップのために有用な栄養素が豊富なので妊活中にもおすすめの食品です。

ただし、ネバネバや独特のニオイに苦手意識を持つ方も多い納豆。
「納豆は食べられない…。」
そんな場合には、ムリに食べる必要はありませんよ。納豆が食べられるのであれば、ぜひ日々の食生活に摂り入れてみてくださいね。

では、納豆が秘める妊活パワーの全貌を次で詳しく確認していきましょう。

納豆が妊活にもたらす4つの効果

妊活中にもおすすめの納豆。一体どんなうれしい効果が期待できるのか?さっそく納豆のもたらすうれしい作用をみていきましょう。

血流改善効果で卵巣機能が向上

栄養分や酸素は、血液によって子宮や卵巣まで運ばれています。そのため、血行が悪いと卵巣機能の低下を招いてしまうことに。
さらに、血行不良は男性にも悪影響を与えます。骨盤内の血液の流れが悪くなると勃起が妨げられ、勃起障害を引き起こす要因となってしまうのです。

すでにご説明した通り、納豆には血液をサラサラにするナットウキナーゼが豊富。納豆を食べることで血流がよくなり、子宮内膜が厚くなる、質のよい卵子が作られる、勃起障害の改善につながるといった、女性にも男性にもうれしい効果が期待できます。

腸内環境改善で栄養素をしっかり消化・吸収

食べものの栄養をしっかりカラダに摂り入れて妊娠力を高めるためには、腸内環境が整っていることが大切。
腸内環境が乱れていると、せっかくバランスのよい食事を摂っても、その栄養がうまく吸収されません。
また、腸には病原菌やウイルスからカラダを守る免疫細胞の7割が集結しているため、腸内環境の乱れによって、免疫力も低下してしまいます。

納豆には食物繊維が豊富に含まれているうえ、納豆菌にも整腸作用があるので、腸内環境のバランスを整える効果が期待できます。
腸内環境をよい状態にして、カラダにうれしい栄養素の消化吸収を促進、さらに免疫力を高めていきましょう。

妊活に必須の葉酸もチャージできる

葉酸は、妊娠のごく初期から胎児の脳や神経をつくる重要な働きをする栄養素。
妊娠前から十分に葉酸を摂取することで、生まれてくる赤ちゃんの神経管閉鎖障害の発症リスクが低減することが明らかとなっています。
そのため、厚生労働省より妊娠可能な年齢の女性には、積極的に葉酸を摂取するようにと勧告されているのです。

なお、妊活中の女性に推奨される1日あたりの葉酸摂取量は次の通り。

  • 葉酸の摂取推奨量:食事から240㎍+サプリメントなどから付加的に400㎍

また、葉酸を充分に摂取している男性の精子は、そうでない男性の精子と比べて、染色体異常が約20%低いことがあきらかとなっており、葉酸を摂取することで妊活中の男性にもうれしい効果が期待できます。[参考2]

ちなみに、納豆の葉酸含有量は、1パック(50g)あたり60㎍。妊活カップル揃って、葉酸を納豆から手軽に摂り入れていきましょう。

抗酸化作用で卵子や精子の老化を防止

近年、老化の進行や生活習慣病の発症に「慢性炎症」が関与していることが明らかにされています。
不妊の男性はそうではない男性に比べて生活習慣病を併発してる割合が高く、生殖ホルモンに異常があるとされています。
また、卵巣性不妊の女性は生活習慣病にかかるリスクが高いとの報告もあります。[参考3]

納豆に豊富に含まれるポリアミンには、この慢性炎症を抑え、老化や生活習慣病を予防する効果が期待できます。
さらに精液中のポリアミンは精子の運動と関連しているともされています![参考4]

なお、ポリアミンは体内で作られる物質ですが、加齢とともに生産能力が低下していくため、食事から補充することが大切。納豆を食べてポリアミンをしっかり補いたいですね。

納豆を妊活に取り入れる際の注意点

健康維持にも妊活にもおすすめの納豆ですが、実は、押さえておきたいいくつかの注意点があります。
「納豆を食べたら、かえって健康を害してしまった…。」
そんな事態にならないよう、納豆を摂取する際の注意点をしっかりと把握しておきましょう。

ワルファリン服用中は納豆NG

抗血栓薬のワルファリンを服用している場合は、納豆の摂取に注意が必要です。
ワルファリンは、血液凝固に関与するビタミンKの働きを妨げることにより、血液を固まりにくくして血栓を防ぐ作用のある薬です。

一方、納豆にはワルファリンの働きと相反するビタミンKが豊富。
納豆の摂取によってビタミンKが供給されることで、ワルファリンの血液を固まりにくくする作用を弱めてしまうのです。
そのため、ワルファリンの服用中には納豆の摂取を控えるようにしましょう。[参考5]

大豆イソフラボンの過剰摂取に注意

すでにご説明した通り、納豆に豊富に含まれている大豆イソフラボンは、エストロゲンに似た働きをして更年期障害や骨粗鬆症の予防効果が期待できる栄養素。
しかし、過剰摂取により乳がん発症や再発のリスクなどを高める可能性も考えられています。

現在、大豆イソフラボンは研究段階にあり、「有効性と安全性についての議論は確立していない」というのが食品安全委員会の見解。
なお、食品安全委員会により定められている「有効性と安全性の両面を満たす」大豆イソフラボン(アグリコン)の1日摂取目安量の上限は次の通りです。

  • 大豆イソフラボンの摂取目安量の上限値:70~75㎎/日
  • サプリメントなどによる上乗せ摂取量の上限値:30 ㎎/日

上記目安をもとに、大豆イソフラボンの過剰摂取にならないよう注意しましょう。[参考6]

納豆は1日1パック程度が目安

ちなみに、主な大豆食品に含まれる大豆イソフラボン(アグリコン)の量は次の通りです。

  • 納豆1パック(50g):36.8㎎
  • 豆腐1丁(400g):81.2㎎
  • 油揚げ1枚(40g):15.7㎎
  • 豆乳1杯(200g):50.6㎎

上記によると、納豆2パックで1日の上限値に達してしまうことに。
日本人の食生活には、納豆のほか、豆腐、味噌などといった大豆食品が多く使われる傾向があるので、納豆は1日1パックまでにしておくと安心ですよ。

ただし、上限値を超えたからといってただちに健康を害するものではなく、また、現時点では、豆腐や納豆、味噌などの伝統的な大豆食品を食べることによる大豆イソフラボンの健康被害は確認されていません。
大豆食品には多くの有益な栄養素が含まれているので、バランスよく食べることを心がけましょう。

納豆の加熱は栄養素が壊れるのでNG

納豆の栄養素のうち、血液サラサラ効果を期待できるナットウキナーゼは熱に弱いのが欠点。加熱調理によってその効果が失われてしまいます。

  • ナットウキナーゼ:熱に弱い

そのため、納豆は、焼く、揚げる、煮込むといった高温・長時間の調理はせずにそのまま食べることをおすすめします。
ちなみに、ナットウキナーゼ以外の栄養素は加熱による影響はあまり受けません。

納豆を食べるベストタイミングは「夜」

ところで、せっかく納豆を食べるなら、その効果を最大限発揮させたいですよね。
そのためには、納豆を食べるタイミングも大事。実は、納豆は「夜」がベストとされているのです。

その理由は、納豆のネバネバに含まれるナットウキナーゼにあり。
ナットウキナーゼは、血栓を溶かして血液をサラサラにしてくれる酵素。納豆を食べた後、10時間~12時間も体内で働き続けてくれます。
そのため、納豆を夜に食べれば、血液の流れが滞りやすい寝ている時間にナットウキナーゼの効果が発揮されるという訳なんです。

寝ている間はコップ1杯の汗をかくといわれていますが、水分を一切摂らないので脱水症状になりやすい状態。さらに、血圧も下がるので血流が悪くなってしまいます。
夜に納豆を食べて、朝まで血液サラサラの状態を持続しましょう。

納豆の効果をアップ!妊活中にもおすすめの食べ合わせ

納豆の基礎知識と健康効果、妊活へのメリットと食べるタイミングを把握したところで、ここからは総仕上げ。
最後に、納豆をよりパワーアップさせる食べ方、おすすめのちょい足しをご紹介します。

納豆+香味野菜で疲労回復

納豆にねぎ・ニラ・ニンニクといった香味野菜をプラスすることで、疲労回復効果が期待できます。
ねぎやニラ、ニンニクなどに含まれる代表的な成分は、強いニオイの元となっているアリシン。
アリシンには、納豆に含まれるビタミンB1の吸収を高め、その効果を持続させる働きがあります。

ちなみに、ビタミンB1は脳やカラダのエネルギー源となる糖質の代謝を促す栄養素。
アリシンによってビタミンB1の働きが高まり、疲労回復やスタミナ増強につながります。

納豆+発酵食品で腸内環境を改善

納豆にキムチや漬物などの発酵食品をプラスすることで、相乗効果により腸内環境をさらに整える効果が期待できます。

キムチや漬物などに豊富に含まれる乳酸菌は、腸の働きを整える善玉菌の代表格。
そして、納豆に含まれる納豆菌は自ら善玉菌として働くほか、乳酸菌を増やすためのエサとしても活躍します。
そのため、乳酸菌+納豆菌のWパワーで腸内環境を強力に整えてくれるのです。

納豆+カルシウムで骨を丈夫に

納豆にしらす・小松菜・チーズ・干し桜エビといったカルシウム豊富な食品をプラスすることで、骨を丈夫にする効果が期待できます。

納豆に豊富に含まれるビタミンKは、血液凝固に関与するほか、骨の再石灰化を促進して、カルシウムを骨に沈着させやすくする働きがあります。
カルシウム豊富な食材と一緒に摂取して、丈夫な骨づくりをしていきましょう。

納豆+すっぱいもので血液サラサラ効果アップ

納豆に、酢や梅干しなどのすっぱい食べものをプラスすることで、血液サラサラ効果がアップします。

酢に含まれるクエン酸や酢酸、梅干しに含まれるクエン酸には、血液が固まってドロドロになるのを防ぐ作用があります。
納豆のナットウキナーゼにも血栓を防止する働きがあるので、納豆とすっぱいものの相乗効果でさらなる血流改善が期待できますよ。

納豆パワーで妊活力をチャージしましょう!

スーパーフードの代表格である納豆は、妊活にも効果抜群の優秀食品です。
ネバネバに含まれるナットウキナーゼの血流改善効果をはじめ、納豆菌の腸内環境を整える作用や抗酸化力の高いポリアミンは精子の運動にも深く関与しています。

さらに、納豆には大豆イソフラボンも豊富。エストロゲンと似た働きをするため、ホルモンバランスを整える効果も期待できます。
なお、大豆イソフラボンは、過剰摂取した場合の安全性と有用性が確立されていませんので、バランスよく食べることを心がけてくださいね。
納豆好きならぜひ、毎日の食事に摂り入れて妊娠力をチャージしていきましょう。

この記事を作るため参考にした文献・サイト名

監修

  • 柳 寿苗

    管理栄養士
    柳 寿苗(やなぎ としえ)

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