妊活にはグレープフルーツ?!その理由と効果的な取り入れ方
妊活時には積極的に摂取したほうがよいモノ、逆に控えたほうがよいモノなど、食事に関するさまざまな情報を耳にしますよね。
グレープフルーツもそのひとつ。どうやら、積極的に摂取することで妊娠しやすい体質になるとされています。
でも、そう言われる理由は何なのでしょう?そこで、グレープフルーツが妊活へどのように影響を与えるのか詳しく調べてみました。
正しい知識を持ったうえで、上手に妊活へ取り組んでいきましょう!
グレープフルーツの何が妊活に効果的?栄養成分を見てみましょう
一般的に、スーパーで見かけるグレープフルーツは「マーシュ(ホワイト)」という品種です。
果皮が黄色く、果肉は白みがかった薄黄色。さわやかな甘みと酸味、ほのかな苦みが特徴のみずみずしいフルーツですよね。
ほかにも、ピンクグレープフルーツとも呼ばれる果肉がピンク色をした「ルビー(レッドブラッシュ)」も定番の人気種です。
それでは、一般的なグレープフルーツである「マーシュ」の主な栄養成分を見ていきましょう。
グレープフルーツ「マーシュ」の主な栄養成分
エネルギー | 38kcal |
---|---|
たんぱく質 | 0.9g |
脂質 | 0.1g |
炭水化物 | 9.6g |
食物繊維 | 0.6g |
ビタミンE | 0.3mg |
ビタミンB2 | 0.03mg |
ナイアシン | 0.3mg |
ビタミンB6 | 0.04mg |
葉酸 | 15μg |
ビタミンC | 36mg |
カリウム | 140mg |
マグネシウム | 9mg |
亜鉛 | 0.1mg |
グレープフルーツは中サイズのもので、1つ当たりの重さが約320g。そのうち可食部は約220gです。
上記の表は、可食部100gに含まれる栄養成分を数値化したもの。よって、中サイズのグレープフルーツをおよそ1/2個食べると摂取できる栄養量です。[参考1]
成分を見るとわかる通り、さまざまな栄養をとることができるグレープフルーツ。
なかでも、「ビタミンC」が豊富、さらに、厚生労働省が妊娠可能な全女性へ積極的な摂取を呼びかけている「葉酸」が含まれた果物であることがわかります。
「妊活にグレープフルーツ」と言われているのは、とくにこの「ビタミンC」と「葉酸」が大きく関わっているようです。
妊活への効果 (1) グレープフルーツの「葉酸」
妊娠には「葉酸」の摂取が大事、近年では広く認識されるようになっていますよね。
グレープフルーツにも含まれている葉酸、そもそもどうしてそんなに重要とされているのでしょう?
葉酸は妊娠1ヶ月以上前からの摂取が望まれている
2000年、厚生労働省によって、「神経管閉鎖障害の発症リスク低減のための妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取に係る適切な情報提供の推進について」という通知が出され、妊娠可能な女性への積極的な葉酸の摂取が勧告されました。
それによると、神経管閉鎖障害の発症リスク低減のため、妊娠を計画している女性に関しては、妊娠1ヶ月以上前から、1日あたり400μgの葉酸をサプリメントなどで摂取することが推奨されています。
「神経管閉鎖障害」とは、お腹のなかで赤ちゃんの脳や脊髄がうまくつくられないことによって起こる「二分脊椎」や「無脳症」などの障害のこと。
このリスクを減らすため、赤ちゃんの健康な成長のために、妊娠前から積極的に葉酸を摂取することが重要とされているのです。[参考2]
葉酸にはほかビタミンと働き造血作用も
また、葉酸にはビタミンB12とともに赤血球の形成を助けるという造血作用があります。
血液が増え、血行がよくなることで体温が上昇。その結果、子宮や卵巣の働きがよくなり着床しやすくなるという考え方もあるようです。
(ただし、これには医学低根拠が乏しく、葉酸が確実に着床率を上げるというわけではありません。)
ちなみに、中サイズのグレープフルーツを1個食べると、およそ30μgの葉酸を摂取することが可能です。
妊活への効果 (2) グレープフルーツの「ビタミンC」
お肌の気になるシミやシワを防いでくれる「ビタミンC」。
グレープフルーツにも豊富に含まれている「ビタミンC」は、妊活においても、着床しやすいカラダづくりのために欠かせない栄養素です。
では、そんな「ビタミンC」の詳細をみていきましょう。
活性酸素を除去し卵子や精子の老化を防ぐ働き
ビタミンCはビタミンEとともに強い抗酸化作用を発揮し、卵子や精子の老化を防ぐという働きをします。
卵子が老化してしまう原因のひとつが「加齢」。年とともに卵子も年をとるため機能が低下してしまいます。
そして、さらに卵子の老化を加速させてしまうのが「活性酸素」の存在。
ストレス、タバコ、大量のアルコールや偏った食生活など、日々の生活のさまざまな要因によって、私たちのカラダの中で活性酸素が過剰に発生してしまうことがあります。
増えすぎた活性酸素は、卵子を含めたカラダ全体の老化をはやめてしまうことに。
抗酸化作用のあるビタミンCには、そんな活性酸素を除去してくれる働きがあり、積極的に摂取することで卵子の老化するスピードを押さえる効果が期待できるのです。
ビタミンCはミネラルの吸収や葉酸の体内利用を円滑にする
また、ビタミンCはミネラルの吸収や葉酸の体内利用を潤滑にするために働いてくれたり、毛細血管を丈夫にして子宮内膜や卵巣まで血流を促すといううれしい働きもあります。
厚生労働省によると、妊娠可能な女性へのビタミンC推奨量は1日あたり100mg。
ちなみに、中サイズのグレープフルーツを1個食べると、およそ72mgのビタミンCを摂取できるので、1個で推奨量の約70%をカバーすることができます。[参考3]
グレープフルーツはいつ頃から妊活のために食べ始めればいいの
妊娠のためにうれしい効果を期待できるグレープフルーツ。でも、いつごろから体へ取り入れるとよいのでしょうか。続いては、グレープフルーツを摂取する時期についてみていきましょう。
グレープフルーツに含まれる栄養素は早めに摂取を
厚生労働省によると、神経管閉鎖障害の発症リスク低減のため、「葉酸」は妊娠1ヶ月以上前から摂取することが推奨されています。
妊娠4~5週目頃は、赤ちゃんの組織や器官が形成される大切な時期。でも、一般的に、妊娠に気づくのは5~6週目以降。
検査薬などで妊娠を確認できるようになるよりもかなり前から葉酸は必要になっているのです。
また、卵子や精子の老化を防ぎ着床しやすいカラダづくりのために欠かせない「ビタミンC」も、妊娠前から積極的に摂りたい栄養素です。
妊活スタートと同時期に食べ始めるのが○
妊娠しやすいカラダのため、さらに、いつ妊娠しても赤ちゃんが健やかに成長できる環境を整えておくために、グレープフルーツは妊活のスタートと一緒に食べはじめることをおすすめします。
ただし、必要なのは必ずしもグレープフルーツではなく、葉酸やビタミンなどの栄養素を摂取すること。グレープフルーツに偏りすぎず、バランスのよい食事を心がけましょう。
グレープフルーツの妊活成分をより効率よく体内へ採り入れるために
カットしてそのまま食べたり、ジュースを飲んだりと、グレープフルーツにもいろいろな摂取方法がありますよね。
そこで、栄養を効率よく摂り入れるための方法や、摂取する際に気をつけたいポイントをみていきましょう。
グレープフルーツジュースでもOK?
手軽にグレープフルーツを楽しめるジュース。スーパーやコンビニでもたくさん売られているので、忙しい朝や外出先でも飲むことができてとても便利ですよね。
でも、グレープフルーツの栄養をしっかり摂るためには、フレッシュなモノがベスト。パックのジュースは、作る過程で多くの栄養が失われてしまいます。
とくに「ビタミンC」は熱に弱い栄養素。ジュースは、途中で加熱処理されることが多いため、摂取量はあまり期待できません。
グレープフルーツの栄養を効率よく摂り入れるためには、カットしてそのまま食べたり、生絞りしたフレッシュジュースがおすすめです。
グレープフルーツでは葉酸不足?
グレープフルーツには、確かに葉酸が含まれていますが、その量は中サイズのグレープフルーツ1個でおよそ30μg。
厚生労働省では、妊娠を計画している女性に食事から240μg、食事以外から1日400μgの葉酸摂取を推奨しているので、実はグレープフルーツだけでは全然足りません。
そのため、ほかの食事で補ったり葉酸サプリを併用することが必要となります。
グレープフルーツと一緒に採り入れると妊活によい成分組み合わせ
妊活によい栄養素のなかでは、とくに葉酸とビタミンCを摂取することができるグレープフルーツ。どうせ食べるなら、妊活によりよい影響を与えるように食べたいものです。
栄養素には、一緒に体内へ取り入れることによって、その作用を高め合う組み合わせがあります。
そこで、グレープフルーツと一緒に摂取したい効果的な成分の組み合わせをみていきましょう。
グレープフルーツの葉酸+ビタミンB12
「葉酸」と「ビタミンB12」は体内で一緒に働く栄養素です。
貧血を防ぐ効果がある「ビタミンB12」は、「葉酸」と協力して血液を作り、葉酸の吸収率を高める働きがあります。この2つの栄養素は常にセットで摂ることを意識しましょう。
グレープフルーツと合わせて摂りたい「ビタミンB12」を含む食材は…
- 卵
- チーズ
- 魚介類(サンマ、イワシなど)
- 貝類(アサリなど)
- 肉類(レバー類)
など。
グレープフルーツのビタミンC+ビタミンE
「ビタミンC」は「ビタミンE」と一緒に摂ることで、体内に有効利用され、より強い抗酸化作用を発揮します。
「ビタミンE」は摂取することで、子宮内膜の環境がよくなり、着床率・妊娠率が高まるといわれている栄養素。
「ビタミンC」は「ビタミンE」の働きをサポートするので一緒に摂ることで、体内でビタミンEがしっかりと働くことができます。
グレープフルーツと合わせて摂りたい「ビタミンE」を含む食材は…
- キウイ
- ナッツ類(アーモンドや落花生など)
- 豆乳
- アボカド
- ほうれん草
など。
グレープフルーツに合う妊活レシピを4つご紹介!
ここからは、妊活専門の管理栄養士が厳選した「グレープフルーツと一緒に食べると美味しい!」妊活レシピをご紹介します。
どの料理も実際に作ってみて、レシピ手順をわかりやすく掲載しています。
ぜひグレープフルーツと組み合わせて食べたり作ってみたりしてくださいね!
濃厚なピカタにグレープフルーツのさっぱり感をプラス
まずは、亜鉛が豊富に含まれている牡蠣を使った妊活レシピのご紹介から。
チーズやナッツを使い濃厚な味に仕上がっているので、グレープフルーツのさっぱり感と非常にマッチする食べ合わせです。
また、グレープフルーツに含まれるクエン酸やビタミンCが、レシピに含まれる鉄分の吸収を促進してくれます。
亜鉛 などが豊富
ラム肉カレー煮込みの妊活レシピに、デザートとしていただく
次の妊活レシピは「ラム肉のカレー煮込み」をご紹介。
グレープフルーツに含まれている葉酸+ビタミンB6, ビタミンB12の働きで、ミネラルの吸収率も上がる食べ合わせです。
鉄分や亜鉛も豊富に含む妊活レシピなので、妊活に大切なビタミンやミネラル類をたくさん摂取することができますよ。
ビタミンB12 などが豊富
グレープフルーツ+肉巻きの妊活レシピで、抗酸化ビタミンが全部取れる!
グレープフルーツと組み合わせたい妊活レシピ。
3番目にご紹介するのは「ゴマたっぷり!豆苗とにんじんの肉巻き」です!
こちらのレシピは抗酸化ビタミンであるビタミンA、C、Eがすべて含まれています。
そこへプラスして、グレープフルーツが持つビタミンCとEが合わさることにより、さらに抗酸化作用をアップさせることができますよ。
ビタミンA などが豊富
オムレツと組み合わせて脂溶性ビタミンを補完できる食べ合わせ
最後におすすめする妊活レシピは「カラフルなオープンオムレツ」です。
抗酸化ビタミンの3種類がすべて摂取でき、さらに脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、Eも全部とれるレシピとなっています。
SNSで映える妊活レシピに加えて、グレープフルーツを食後のデザートとして取り入れ、写真もいいねも抗酸化作用も同時にアップさせちゃいましょう!
ビタミンE などが豊富
グレープフルーツを妊活へ役立てる際の注意点
妊活中は、妊娠しやすいカラダづくりのため、また、妊娠したときに安心して赤ちゃんを迎え入れられるカラダづくりのために、食品や薬など口にするものに慎重になりますよね。
では、グレープフルーツを食べる際の注意点はあるのでしょうか。詳しくみていきましょう。
グレープフルーツの防カビ剤に注意
一般的にスーパーなどで売られているグレープフルーツの多くは、フロリダや南アフリカからの輸入品です。
そして、そのグレープフルーツには、輸送中にカビが発生するのを防ぐため「防カビ剤」が使用されています。防カビ剤のなかには、お腹の赤ちゃんに先天性障害をもたらす毒性のあるものも。
厚生労働省によると、防カビ剤は「食品保存の目的」で使用することから、食品添加物として使用基準が定められ、基準に違反した食品に関しては輸入、販売が禁止されているようです。
そのため、気にしすぎる必要はないといわれていますが、食べる際には、皮をむく前にしっかり水洗いするようにしましょう。
また、防カビ剤を使用している食品については、消費者庁によって、その表示が義務付けられています。
そのため、頻繁に食べる場合は、輸入グレープフルーツでも防カビ剤の表示がされていないもの、または国産のものを選ぶと安心です。
薬を服用している場合は注意
薬を服用している場合、グレープフルーツを摂取することで、副作用がでたり薬が効きすぎてカラダに害が及んでしまうケースがあります。
厚生労働省では、注意が必要な薬との組み合わせ例として「高血圧の薬であるカルシウム拮抗薬とグレープフルーツジュース」が挙げられています。
薬を服用している方は、自己判断でグレープフルーツを摂取することは控え、食べる場合は必ず医師や薬剤師に相談するようにしましょう。
妊活にはバランスのよい食事に+グレープフルーツを
妊活をしていると、食材についてのさまざまな情報を耳にしますよね。グレープフルーツもそのひとつ。
これまでみてきたように、たしかにグレープフルーツには、妊活にとって大切な栄養が含まれています。でも、グレープフルーツだけでは足りない栄養、補えない栄養があるのも事実。
よいとされる食材はいろいろありますが、バランスの整った食事がなによりも大切。
さまざまな食材ひとつひとつにそれぞれ大切な栄養素が詰まっていて、それらの食材をうまく組み合わせて取り入れることが妊活成功へとつながっていくのです。
バランスのよい食事を基本にして、ぜひ、その中にグレープフルーツを上手に取り入れてみてくださいね。
妊活中は、これまでの生活習慣を見直し、自分のカラダと向き合うよい機会です。赤ちゃんを迎え入れるため、健やかなカラダとココロを準備していきましょう。
この記事を作るため参考にした文献・サイト名
監修
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管理栄養士柳 寿苗(やなぎ としえ)